質問1:現代医学があるのに、なぜ漢方が必要なの?

現代医学は非常に発達し優れているところが多いのですが、万能ではありません。病気に対して様々な治療手段を持ち、直せる病気を増やしたり、治療の質を上げる事は非常に大切です。
 

質問2:漢方は本当に効くの?

現代医学と得意分野は異なりますが、確かに効きます。
明治時代に正式な医学として認められなくなった後も生き残り、その後再び認められて、医学部での正規の授業が開始されたのが良い証拠です。
 

質問3:漢方ってどんな病気を直せるの?

基本的にはどのような病気の治療にも使えます。
現代医学に比べて特に優れているのは慢性疾患に対してです。
アトピー性皮膚炎・喘息・蕁麻疹などのアレルギー性疾患、尋常性乾癬・掌蹠膿疱症・ニキビ・天疱瘡などの皮膚疾患、生理不順・月経痛・更年期障害・子宮筋腫・不妊症などの婦人科疾患、便秘症・過敏性腸症候群・原因不明の食欲不振などの消化器疾患、偏頭痛を始めとする各種頭痛、慢性疲労症候群、冷え性等。
検査には異常が出ないものの症状で悩む病気の治療は、漢方が最も得意とするところです。
 

質問4:効くのに時間がかかって、遅いんじゃないの?

体質改善のために時間がかかる場合もありますが、効果が早いものも多いのです。
例えばウィルス性のカゼを現代医学で直す場合は、ウィルスに対する抗体ができるまで5日前後待たなければなりません。しかし漢方を使う場合は、上手に汗を掻かせることで一晩で直すことも可能です。こむら返りなどは、芍薬甘草湯にてほぼ一発で直ります。
 

質問5:同じ薬をずっと飲み続けなければいけないの?

例外もありますが、直り具合・体調・季節などに合わせて、診察の度に薬を微調整します。
直るに従い、薬は量も種類も減り、最終的には薬が要らない健康な体を目指します。
 

質問6:漢方薬の値段は高いの?保険は使えるの?

漢方薬にも保険は使えますので、薬代は実際の値段の3割ですみます。保険が使えないのは癌の治療に使う漢方薬などのごく一部だけです。
1種類の漢方エキス剤の値段は1日43円~257円(保険を使い13円~77円)ほど。
古い高血圧の薬よりは高く、新しい抗生物質や高脂血症の薬よりは安いことが多いようです。
慢性疾患の場合は一人で何種類もの現代医学の薬を飲むので、それよりは遥かに安くなります。
煎じ薬にした場合も保険は使えますので、エキス剤とほとんど値段は変わりません。
 

質問7:副作用が無いって本当?

副作用が無い薬は存在しません。これは現代医学でも漢方でも同じです。
ただし、現代医学の薬に比べて副作用が圧倒的に少ないのは事実です。
現代医学の薬は単一成分を抽出してあるため、直接的に効くものの副作用も直接的に出ます。
漢方薬は複数の成分が組み合わさっているため、作用は相乗効果で良い結果が期待でき、一方副作用は各成分が相殺的に働いて打ち消しあうので出にくいのです。
 

質問8:煎じるのは大変そう…味も不味そうだし…。

今では煎じ薬をインスタントにしたエキス剤を一般的に使っています。
エキス剤もお湯に溶かして飲みますので、漢方独特の味はしますが、病気の時はそれが美味しく感じられることが多いようです。どうしても味が苦手な方には種類は限られますが、錠剤やカプセル剤もあります。また薬に頼らず、食事療法で直す場合もあります。
煎じ薬を使う時は自分で煎じるのが基本ですが、手間がかからない自動煎じ器もあります。
また、大賀薬局大名店や招き猫薬局には、煎じてアルミパックに入れる機械がありますので、それを利用すると更に便利です。
 

質問9:子供も飲めるの?

子供用に味付けした漢方薬は無く、大人も子供も同じ薬を飲みます。
ただ、子供に出す漢方薬はきつい味のものはほとんどありません。
生姜やシナモンの味が中心である場合が多いので、よろこんで飲んでくれる場合も多いようです。
 

質問10:サプリメントとどこが違うの?

サプリメントは薬として認められていないものですが、漢方薬は薬です。これが一番の違いです。
サプリメントは体に良い成分を抽出したり濃縮したりしていますが、これは理解できる有効成分のみを使おうという現代医学的考えに近く、漢方は自然なものを解らない成分も含めて丸ごと使います。
またサプリメントは歴史が浅く、何となく良さそうでも解っていない部分が多いのですが、漢方は2千年以上の歴史があり、どうしてどのように効くかは漢方理論上と経験から全て説明できます。
 

質問11:漢方を飲んで痩せられる?

漢方は丁度良い状態に体を整える性質があります。例えば、同じ薬を飲んでも脱水の人の尿は増やさず、浮腫の人の尿は増やします。体重に関しても痩せすぎの人は食欲を増やし、太りすぎの人は痩せさせる傾向があります。痩せるのは、亢進した食欲を正常化させて体に入れるカロリーを減らし、落ちた代謝を高めて使うカロリーを増やすからです。太っていないのに更に痩せたいという方がおられますが、ある程度可能でも体のバランスを無理にいじって体調を落とすことになりかねませんので、あまりお勧めできません。
 

質問12:漢方を飲んで美肌になれる?

これは確実になれます!そもそも、肌をきれいにする時に肌だけをいじっても一時的な効果に過ぎません。
長持ちする美肌を作るには、胃腸を整え、肌が自然にきれいになるようにします。食事の注意をきちんと守って漢方薬を飲めば、週単位で艶のあるきれいな肌になっていくのがわかります。
植物で花や葉が傷んだ時、花や葉をいじっても効果が無く、根や土をいじれば直るのと同じ理屈です。
 

質問13:現代医学の薬と一緒に飲んでいいの?

全く問題ありません。漢方薬を飲んで現代医学の薬が邪魔されることはほとんどありません。逆に、現代医学の薬を飲んでいる時に漢方薬が効きにくくなるパターンがありますが、ステロイド薬などごく一部のみで問題になるほどではありません。現代医学の薬と漢方薬は互いに助け合う関係と見てよいでしょう。
 

質問14:効く理由がよくわかりません。非科学的でうさん臭いのでは…?

医学が現在の形になるまで、わずか100年ほど前までは、欧米の薬もほとんど漢方と同じ状態でした。
化学と工業の発達で、効く薬の有効成分の化学式を解明し合成して、工場で生産できるようになったのはつい最近のことです。今でも新薬を開発する時は、最初は自然の植物から成分を取り出す昔ながらの方法が採られています。
漢方薬が効く理由はその成分の分析により、現代薬理学ですでに証明されています。もともと漢方で利用する植物や鉱物は、現代医学の薬と共通するものが多いのです。
しかし、漢方を使いこなすためには、漢方が効く理由を独自の漢方理論で説明できなければなりません。
漢方理論で病態生理を説明し、診断をし、治療方針を立てる事が必要です。
異なる言語を完璧に翻訳するのが困難なように、漢方理論を現代医学の言葉で表すのは困難で、それが漢方の理解を難しくしています。
 

質問15:説明書を読んで飲めばいいの?

説明書は参考程度にして下さい。現代医学でも、カゼ薬に咳用と鼻水用があり、同じ咳でもカゼと喘息では薬を使い分けるように、症状から全てを決められるほど薬は単純ではありません。
現代医学と同じく、漢方でも診断が一番大切です。
 

質問16:漢方は癌にも効くって本当?

漢方薬で癌の治療は可能です。ただし、現代医学でも癌の治療は難しいように、漢方でも癌の治療は高い専門性を必要とします。中国では漢方専門病院に腫瘤科があります。
現代医学は攻撃型の治療に優れていますので、癌を攻撃する治療を現代医学で行い、体力消耗や副作用を漢方で補うのが一つの方法です。手術不可能な癌を漢方だけで治療することもありますが、その時は攻撃型の漢方薬と補う漢方薬の微妙な組み合わせが必要で、煎じ薬を用います。抗癌作用の漢方薬は保険が効かないものが多いのですが、植物なら値段は高くありません。